真実は
己の無知を
知ることか
むかしむかし、その昔。
お爺さんとお婆さんが仲良く暮らしていました。
でもお婆さんの本心は「お爺さん」のことが大嫌いでした。
そこで、お爺さんが山に茸狩りに出かけた隙に、お婆さんは家の水瓶にトリカブトを入れてしまいました。
やがて籠いっぱいの茸を持って、お爺さんが山から戻ってきました。
お婆さんは満面の笑顔で、ご苦労さんだったね、ありがとう、とお爺さんに礼をして、その茸で夕餉の仕度をはじめました。
お爺さんは、疲れた体と渇いた喉をうるおそうと水瓶の水をおいしそうに飲みました。
しめしめと思ったお婆さんは、焼いた茸をおいしそうに食べました。
すると直に、お爺さんもお婆さんも口から泡を吹いて死んでしまいましたとさ。
本当に仲の良いお爺さんとお婆さんでしたね。
おしまい。
(付記)
俯瞰と伝達。
事実は一つではなく、それは人ごと或いは自身のなかで揺れ動く。
アプリオリな総合判断はいかにして可能か、と。
ええ。